【くまもと人物百景】熊本で一番最初にできたサッカー&フットサルスクールを作った寺園悟さん

熊本で一番初めにできたサッカー&フットサルスクールを知っていますか?

私はサッカーが大好きで自分でもたまに男子に混じってフットサルをしたりするんだけど、熊本にも熱いフットサルパークがあるのよ。

今回は、そんな熱いフットサルパークの代表寺園悟さんに突撃インタビューしてきたわよ!

ということで、キックオフ!!!

徹底すれば仲間が増える。

スキルアップフットサルパーク代表:寺園悟さん

菊陽町の広い敷地に広がるサッカー&フットサル施設、スキルアップフットサルパーク。

幼稚園児から中学生以下が対象のスクールは今年で開校20年。

寺園さんはこのスキルアップフットサルパークの代表でありながらスキルアップスクールの指導者。

いったい、何人の卒業生を送り出しているのかしら?

元々は大手スーパーマーケットの敏腕店長だった寺園さん。

寺園さんの人望、人脈は相当で……お話を伺いに行っても、スクール生だけじゃなく、ひっきりなしに「寺園さん!」と、訪問客が途絶えません。

あー、、、取材が進まない!笑

取材日:2018年10月4日

1.1 施設は「独自性」尽くし。

■小学生の放課後のスポーツは、学校を離れ、クラブチームで……が今後一般的になっていくようで。

熊本で初めて、1998年からサッカー&フットサルのクラブチームを開校している同施設の「スキルアップスクール」。卒業生は県内外でプロチームに入ったり、有名大学に進学をしたり、あるいは、どこかで指導者になっていたりと、多様な進路を歩んでいるそうです。

同スクールはかつてはクラブチーム制でしたが、今はスクール型へと移行し、1クラスあたりの上限を「24人まで」に設定しているそうですが、そこにはどのような意図が隠されているのでしょうか?

「あまり人数が多いと、私たち指導者の目も行き届きにくくなりますし、何よりも、限られた時間の中で、子供たちがボールに触れる機会がどうしても、必然的に少なくなります。それじゃあ楽しくないでしょう。子供たちはボールが蹴りたくて来ているわけですから、とにかく、ボールに触る時間、回数をなるべく多くしてあげて、『ボールを蹴るのは楽しい』と実感させなきゃ、長続きしませんよ。だから、うちのスクールではたくさん蹴らせますし、蹴りながら走らせますし、お説教も短めにしているつもり(笑)」

「ときどき対外試合を組むこともありますが、基本的にうちは曜日固定の形ではありません。今の子供たちは忙しいですから(笑)。個人個人のスケジュールに合わせやすいように、あらかじめ決めた週何回かのコースに応じて、通う曜日も子供自身で決めていただきます。スクールは日曜以外、ほぼ毎日、同じ時間に実施していますし、振り替えもできますので、1回休んだからみんなに付いていけない、とか、親御さんの立場でも、月謝がもったいない、などは出てきにくいと思います」

■子供たち目線で、「それじゃあ楽しくない」と仰る自由参加型のスクールで、一見、のほほんとした雰囲気を想像してしまいがちですが……いえいえ、実は寺園さんをはじめとする、ここの指導者は本当に厳しい!とのもっぱらの評判。

とくに重視するのは「基礎」の徹底だそうですが、それはどうしてですか?

「最低限の戦術や、細かなテクニックも、将来的には必要でしょう。でもね。まず、この年代だからこそ身に付けさせなくてはならないと考えているのが、基礎の基礎。ボールを止める・蹴る、仲間を呼ぶ・励ます、さぼらず走る。これらの習慣付けです。加えて、礼儀、作法の部分。仲間にも、親御さんにも、練習で使う道具にも、すべてに感謝の心を持つ。こうした基礎的なことを徹底するのが、うちの特徴だと思いますし、かなり厳しく言いますね。泣く子?しょちゅうですよ(笑)。」

「基礎って、成長してからではなかなか身に付きません。スキルも、礼儀・作法も含めた基礎が備われば、大人になって、サッカーを続けていても、サッカーから離れていても、どんな中であっても、絶対に応用が利いてくる。基礎なくして、応用はありません」

 

■同施設、子供たちのスクール時間以外は予約制の一般開放。

社会人のチーム、会社でのレクリエーション利用が、「いつでもできる」という、県内ほか県外でも珍しい24時間営業らしいですが、それはなぜその形態を取られているのですか?

「社会人の方は、本当にさまざまなシチュエーションでご利用をいただいていますよ。暑い日も、雨の日も。深夜や早朝も。大学生から女性だけのグループ、おじさん集団に至るまで。社会人になると、それぞれに事情があって、時間の融通もつきにくくなりますでしょう。だからこそ、うちはどんなときでも、『蹴りたい』と思ったときに施設が開いていることで、皆さんの貴重な『蹴りたい』機会を大切にしていただきたい。年中休みなし。ご予約が入れば、いつでも開けます。なので……私のオフは、スクールも、コートのご予約もない、隙間だけ(笑)」

 

1.2 寺園流・サッカー環境の作り方。

■寺園さん自身、19歳から36歳まではスーパーマーケットに勤務。交渉力抜群の、バリバリの店長だったそうですが、どうしてこのサッカースクールを開校したのですか?

「本当はね……就職を考えた際、スーパーでも、事務系の仕事がしたかったんです。ところが、入社後に任されたのはレジ係。パートのおばちゃんたちに混じって、2年間、ひたすらレジを頑張りました。足がパンパンになったな……。そのうち、レジもブラインドタッチができるようになりましたよ」

「その後、まー、いろいろありまして。23歳のときに店長になったんです。しかも、全国に数千店舗を抱えるグループのトップです。そうなると……人生が変わりますよね(笑)。いろいろな社会勉強をしました」

「会社が斜めになってきまして。私自身、趣味で社会人サッカーチームでプレーをしていて、サッカーが好きだったこともありまして、漠然と『サッカーに関わる仕事でメシが食えたらいいな』と思って、妻に相談してみたんです。そうしたら、『ごはんが食べられるならね』と言われまして。そこで……これはもう、『しめた!』と。妻の承諾は得たと勘違いしたんですね(笑)。すぐ会社を辞めて、サッカーを教える世界へと進んでいきました」

■県内初のスクール開校。それはご苦労もあったことでしょう……。

「もちろん、初めからうまくいったわけではありません。最初のうちは子供向けのクラブチームを立ち上げて、近所の小学校の体育館を借りて練習をしていました。ただし……私はスーパーで店長として、経営をしていたわけですから、私はチームの経営と、宣伝係に専念。指導は別の友人に完全に託す形でやっていました」

「でも……また、さまざまな事情があって、小学校の体育館も借りるのが難しくなってきましたし、クラブチームだけでは、参加してくれる子供たちを増やしていくことも難しいという、経営判断に迫られました。そこで、クラブチームは生徒ごと、他に譲り渡し、もっと多くの子供たちが気軽に通えるスクールという形に切り替えることにしました。それが2003年です。そのときから、私自身も指導者として、子供たちと直接触れ合うようになりました」

「今の施設環境はスーパー時代に培った、本当にたくさんの方々からのご縁、ご支援、ご協力で成り立っています。土地探しから、設備環境の仕入れなど、普通では考えられないくらいの、仲間が助けれくれました。」

■寺園さんのオリジナリティーは施設環境へのこだわりにも表れています。「疲れにくい、ケガをしにくい」最高級の人工芝であったり、観覧スペースの充実化であったり、施設を訪れるすべての方が寛げる環境への追求、配慮は惜しみません。

どうしてそこまでのこだわりを持つのですか?

「まず、子供たち対象のスクールでは、親御さんの送迎というサポートが欠かせません。それならば……子供たちに対しても、もちろんですが、親御さんがストレスなくスクールの間をお待ちいただけるよう、クラブハウス横の観覧スペースは屋根付きにしました。大型のテレビモニターも設置しましたし、敷地内にはお好み焼き屋さんもあります(笑)。とくに駐車場は、スクールだけでなく、社会人の方々がご利用のときは、たくさん必要になりますので、コート隣接20台分のほか、コートから歩いて1分の場所に、幸い、この辺りは土地がありますから、100台は停められるスペースも確保しています。こんなに駐車場がある施設は、少なくとも県内では他に聞きません」

1.3 将来は、「もっともっと」。

■スーパーマーケットでの勤務を経て、サッカー&フットサルに関わり、寺園さんの築き上げた今の施設には、常に、多くの訪問者があります。訪問者はスクールOB・OGだけではありません。長く、一筋に、信念を貫き続けてきたからこそ、寺園さんはいつも、仲間とのやり取りに忙しい状況ですが、こういう状況に関して、どのようにお考えですか?

「子供たちは、すごくすごく厳しく、泣かせて育ててきたのですが、それでも、スクール卒業後、フラッと遊びに来てくれるんです。とくにボールを蹴るわけではなく、勉強の合間の息抜きとか、成人式の帰りとか、熊本を離れた子は帰省のついでに。嬉しいですね。彼ら、彼女らの近況を聞けるときに、やりがいと言いますか、自身が徹底してきたことの成果を実感できるような気がしています」

「スーパー勤務時代の方々にも、今も施設の設備面ではお世話になっていますし、近隣地域の皆さんにも、そしてサッカーやフットサルにちょっとでも関わっている方々など、本当にたくさんの皆さんと知り合うことができて、助けてもらっていると思います。熊本地震のときも、各地から本当に数えきれない支援をいただきましたし、また、私も何かできることを……と考えて、施設のシャワーを無料開放したりと知恵を絞りました。一生懸命に頑張っていると、仲間と支え合えるものです。ありがたいですね」

 

■4年ほど前からは、オーストリアのプロリーグでプレーしていた息子さんが帰国し、コーチとして加わったそうですね。寺園さん自身は、そろそろ裏方に回りたいと仰っていますが、それはこの施設について、まだまだ野望があるからと思うのですが、いかがでしょうか?

「もうね、スクールでの指導や施設の運営は息子がいますので、私は身を引こうと思っているんです。とは言っても、まだもう少し、子供たちを叱り続けるつもりですけれど(笑)。一方で、施設環境に対して、まだやりたいことがたくさん残っています。施設周りにはまだまだ、使える土地がありますので、もっと広いスペースを作って、サッカーやフットサル以外の取り組みもできるようにしたり、ご年配の方がお孫さんと一緒に遊べるアクティビティを設置したり、とにかく、もっともっと幅広い方々が『また来たい』と思ってくださる環境を作っていきたいです」

「他の施設やスクールとは、今後も競うつもりはありません。元々が私、サラリーマンですから、張り合おうとも、根本から違い過ぎます。。。自分で考えられることを徹底していているだけで、気が付いたら、個性的な場所になっているようですけれど(笑)」

 

1.4 まとめ

優しさとこだわり。そして、良い意味での”おせっかい”。

ご本人は否定されるかもしれませんが、寺園さんがずーっと、”おせっかい”を徹底しているからこそ、寺園さんのもとへは多くの仲間が訪問してくるのでしょう。

人としての「基礎」。
ワタシも幼少期、寺園さんに磨いてもらえていればもっと素敵な大人になっていたかもしれないわ……

 

寺園 悟(てらぞの・さとる)

    • 1961年3月生まれ
    • 熊本県出身
    • 好きな熊本グルメ:辛子レンコン

 

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