熊本といえば「肥後もっこす」その意味や使い方について解説

「肥後もっこす」の意味

肥後もっこす

肥後もっこすとは、九州男児の中でもとくに熊本の無骨な気性のことで、「土佐いごっそう」や「津軽じょっぱり」と並んで日本三大頑固のひとつといわれています。

日本三代頑固

日本三代頑固とは、日本全国の「頑固者を表す表現」の代表的な3つのことです。

肥後もっこす→熊本
土佐いごっそう→高知
津軽じょっぱり→青森

「肥後もっこす」の印象

肥後もっこす

自分の意見を貫く一本筋が通っているイメージでポジティブな印象で知っている人もいますが、実際には

  • 頑固
  • ひねくれ者
  • 曲がったことが嫌い
  • 駆け引きができない

このような熊本の男性を「肥後もっこす」と称しています。簡単に言えば「面倒くさい人」というようなマイナスな意味合いで使うのが一般的です。

性格は短気で感情的といわれる九州男児そのものですが、不器用で意外と気の小さいところもあります。真面目でストレートな熊本の男性は、小細工とは無縁で言い損をしてしまうことも。

「肥後もっこす」の由来

肥後もっこす

肥後もっこすの由来はいくつかあり、中国語の​​「没骨子(モッコッス)」だという説もあります。没骨子(モッコッス)は、無骨=骨なし、怠け者、だらしないという意味で、そこから無骨者=礼儀作法をわきまえない人柄=頑固者、ひねくれ者となったようです。

ほかにも、中国古代の『沐猴にして冠す(もくこうにしてかんす)』という出来事が元になったともいわれています。

「肥後もっこす」の使い方

肥後もっこす

日常会話の中で肥後もっこすを使うときには、「もっこす」の部分だけを使うことが多いです。

  • 「あん人はもっこすだけん、人の言う事は聞かっさんもんね」→「あの人は頑固だから、人の言うことは聞いてくれないんだよね」

肥後もっこすの女性版「肥後猛婦(ひごもうふ)」

肥後猛婦

肥後もっこすは熊本の男性の気性を表す言葉。一方で肥後もっこすのように、一本気があり頑固な気質の熊本の女性のことを「肥後猛婦(ひごもうふ)」といいます。

明治以降に、女性の自覚・独立・地位の向上のために勇敢に行動した婦人の多くは熊本出身でした。男性中心の日本社会に挑戦するために、女性たちの決起をうながし、その陣頭指揮をおこなってきた女性将軍たちから、「肥後猛婦」という言葉が生まれたとされています。

ジャーナリストの大矢壮一が「肥後猛婦」としてあげた女性6人がこちら。

  • 竹崎順子(たけざきじゅんひ)
    女子教育の先駆者で、矢島家三女・女性教育者・熊本女学校(現フェイス女学院)を設立した
  • 矢島楫子(やじまかじこ)
    社会事業家で、矢島家六女・廃娼の婦人矯風会を創立・国際的に活動した
  • 嘉悦孝子(かえつたかこ)
    教育家で、横井小楠の高弟・嘉悦氏房の長女・嘉悦学園を設立した
  • 久布白落実(くぶしろおちみ)
    社会運動家で、徳富蘇峰、蘆花の姪・廃娼・婦人参政権活動に尽力した
  • 河口愛子(かわぐちあいこ)
    教育家で、小石川高等女学校を設立・女性の自立を説いた
  • 高群逸枝(たかむらいつえ)
    女性史研究家で、「母系制の研究」などを出版・女性史研の道を開いた

もしかすると、「肥後もっこす」とされる熊本の男性よりも「肥後猛婦」と呼ばれる熊本の女性の方が本当は気性が強く、一本気があるのかもしれませんね。

まとめ

肥後もっこす

「肥後もっこす」の意味や使い方についてご紹介しました。

「肥後もっこす」は会話の中ではマイナスな使い方が多いですが、頑固で男気のある素敵な熊本の男性の性格を表す言葉でしたね。最近では「肥後もっこす」よりも、熊本県人のもう1つの県民性である「わさもん(新しい物が好きな人)の方が多く見られるようになりました。

しかし、熊本県の男性の心の奥には「肥後もっこす」が見え隠れしていることもあるので、これが肥後もっこすか〜と温かい目で見守ってくださいね。