熊本市の一般社団法人みらいず設計Lab.は、2019年8月20日、熊本ラーメンの火の国文龍 総本店(熊本市)にて、熊本の高校生が商品開発したイノシシラーメンの試食会を行った。
高校生が農家ハンターや文龍とコラボしてイノシシラーメン開発
みらいず設計Lab.とは
熊本の中高生向けのキャリア教育事業を展開する一般社団法人で、今回、熊本の高校生たちと共に「ジビエ商品開発プロジェクト」を立ち上げた。
くまもと農家ハンターとは
農家ハンターとは、「地域と畑は自分たちで守る」との合言葉で災害から地域を守る消防団のように、イノシシ被害から地域を守る熊本県内の若手農家100人による有志活動のチームだ。
今、イノシシによる農作物被害は、離農につながる深刻な事態となっている。
その上この20年でイノシシの個体数は約3倍に増えているにもかかわらず、それを駆除できる狩猟者は半減しており、問題解決の糸口すら見えていない。
さらに里山に下りてきたイノシシによる人身被害や車両との衝突事故は後を絶たず、住民の日常生活を脅かす事態となっている。
そこで立ち上がったのが、この「くまもと農家ハンター」だ。
しかも、この農家ハンターは、AIやiotを駆使し、猟銃を使わずイノシシを捉えたり、国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)も活動に取り入れたりと最先端技術を使いながら、世界的な課題にも取り組んでいて、世界各国から注目されているチームなのだ。
火の国文龍
2008年創業の濃厚とんこつラーメンお店で、熊本では超人気ラーメン店だ。”熊本最強濃度”と言われてコッテリが好きな人々から絶大な人気を誇っている。
ジビエ商品開発プロジェクト
ジビエ商品開発プロジェクトは、熊本市内の普通科に通う高校生が集まって、商品開発を普通科の高校生のみで挑戦しようというものだ。
今回は、上記のくまもと農家ハンターとのコラボで、イノシシを使った商品開発に挑戦している。
農家ハンターのコンセプトでもある「いただいた命は細部まで無駄にせず全て使い切る」という想いに高校生たちが共鳴して今回のコラボが実現した。
高校生たちは、食品加工チームと皮や骨を加工するチームに別れて商品開発を行っている。
今回の試食会は、食品加工チームが熊本の超人気ラーメン店『火の国文龍』ともコラボして作り上げたイノシシラーメンのお披露目会だった。
試食会
一般社団法人みらいず設計Lab.の平松代表の挨拶で試食会は始まった。
くまもと農家ハンターの稲葉さんの挨拶もあり、
火の国文龍の皆さんの挨拶もあり、いざ試食へ!
試食会は2部に分かれていて、高校生の担任の先生やお世話になった先生、保護者や関係者など1部と2部合わせて約80名ほどの方々が来場していた。
テレビ局や新聞社の取材陣もたくさん来ていて、ごった返す中、ラーメンが到着!
イノシシ塩ラーメンとイノシシ味噌ラーメンの2つを試食できたのだが、
来場者は「思ったよりも臭くない!」「見た目よりあっさりしていて食べやすい!」「これ本当にイノシシ使ってる?言われないとわからないね」「おいしいね!」と絶賛の嵐だった。
厨房では、スープをグツグツとに続けているスタッフさんも。
このスープは9時間煮込み続けてようやく出来上がるそうだ。
煮込んだ後のイノシシの骨はこんなにきれいに。
こちらのイノシシチャーシューはワインで煮込んで2日ほど寝かして完成だそうだ。
厨房は大忙し!
「自分で捕獲したイノシシの味は格別だ!」と農家ハンターの稲葉さん
イノシシ塩ラーメン
私もいただくことに。
こちらはイノシシラーメンの塩味だ。
見た目はコッテリだが・・・
チャーシューは二種類入っていて、ロースとバラだそうだ。
こっちがバラかな?
チャーシューは豚のチャーシューより歯ごたえはあるが臭みはなく旨味が多かった。
スープはかなりコッテリと濃厚に見えるが、あっさりで獣臭さはなく、クリーミーでコクがあるスープだった。
麺は文龍の特徴である固めのちぢれ麺がスープとよく絡んでおいしかった。
イノシシ味噌ラーメン
こちらは、イノシシラーメンの味噌味だ。
こちらはチャーシューがたっぷりと乗っていてお得な気分に。
のりの風味が食欲をそそる。
塩ラーメンにもレンコンなどの野菜が入っていたが、こちらにも。
これらの野菜などは地産地消のコンセプトから全て熊本県産のものを使用しているそうだ。
塩ラーメンよりは味は濃いスープだったが、味噌の風味が効いていて一瞬パンチがあるように感じた。
しかし、濃すぎることはなく、ベースがあっさりしているので、飽きることなく食べ進めることができた。
こちらも文龍の特徴であるある固めのちぢれ麺でスープとよく絡んでいた。
高校生の今後にも期待
今回のイノシシラーメンや皮を使った製品は、来年の1月〜2月ごろに正式に発売されるとのことだ。
このような高校生が地元の鳥獣被害対策チームや飲食店などと大々的にコラボして商品開発していくことは全国的に見ても稀なのではないだろうか。
この商品開発プロジェクトを通して、彼らが触れる情報や経験はきっと高校生の将来の武器になるはずだ。
今から彼らの今後が楽しみだ。
取材者&ライター |