最近、低脂肪で高タンパク、さらに生食できることで注目されている馬肉。
日本国内で、馬肉食文化が盛んな地域はいくつかありますが、その中でも有名なのは熊本では無いでしょうか。
今回は、なぜ熊本で馬肉が食べられ始められたのかや、熊本の馬肉の特徴などをご紹介します。
熊本は馬刺しをたくさん食べる県!
全国で馬肉を食べる地域は、青森・山形・長野・山梨・福島などもありますが、とくに熊本県は国内の馬肉生産量がダントツ1位なのです。
馬刺しだけではなく、馬のタタキや馬ホルモンの、馬串焼きなどさまざまな馬肉料理も食べることができます。熊本で生産した馬肉を、熊本県内で相当量消費しており、地元でも馬肉が愛されているのが分かります。
熊本の馬刺し
熊本の名物として、一番に名前が上がるのは馬刺しでしょう。
薄く切った生の馬肉を、おろししょうがやにんにく、たまねぎなどと一緒に、甘口の醤油をつけて食べます。低脂肪で低カロリー、高タンパクで鉄分やカルシウム、亜鉛などミネラルも豊富で、今注目の食材です。
熊本では昔から、馬肉は体に良い食材として食されてきました。主に正月や祝い事の料理として並ぶことが多いですが、スーパーなどにも馬肉が並び、日常的にも食べられています。
馬刺しを食べ始めたのは加藤清正!
発祥は諸説ありますが、熊本藩の初代藩主の加藤清正が朝鮮出兵した際に、朝鮮半島で食料がなくなってしまい、しかたなく軍馬を食べたところ、とても美味しく帰国後も馬刺しや馬肉を好んで食べたというのが始まりといわれています。
江戸時代には、お肉を食べる習慣がほとんどなく、一部の農民などが食べているだけでした。明治の時代に入り、徐々に熊本・阿蘇地域に広まっていきました。
軍馬の生産地だった阿蘇地域で、戦後の食糧難のため馬肉を食べ始めたことで、広く伝わっていき、昭和30年代には一般的な飲食店でも取り扱うようになりました。
馬刺しは桜肉とも呼ばれる
桜納豆や桜ユッケなど、桜肉と呼ばれる馬肉はなぜそう呼ばれるのでしょう?
馬肉は切り口が空気に触れると、鮮度が良いものはピンク色(桜色)に染まることから、そう呼ばれます。他にも、桜が咲く季節が馬肉は美味しいなど、さまざまな諸説から桜肉と呼ばれるようになっています。
また、坂本竜馬が高杉晋作の宴で「咲いた桜になぜ駒つなぐ、駒が勇めな花が散る」という歌を歌いました。この歌の中にある「駒=馬に桜」というフレーズが元となり馬肉は桜肉と呼ばれたという説もあります。
馬肉は栄養たっぷり!
馬肉は東洋医学でも、肝腎機能の滋養に良いといわれています。また、体内の余分な熱を治める作用があり、地方では馬肉を患部に貼り熱を冷ますという様な民間療法もあるようです。
馬肉にはビタミン類も多く含んでおり、牛肉の20倍、豚肉の3倍、ビタミンB12は牛肉の4倍、ビタミンAやビタミンEも多く含まれています。
ほかに、ほうれん草やひじきより豊富な鉄分や、牛肉・豚肉の3倍量のカルシウムも含まれていることから、「食肉の王」とも言われています。
また、食べても太りにくく、低アレルギー食品かつ低カロリー・高タンパク質・低脂肪・高ミネラルなため、女性や高齢者、疲れを感じる人にも適した食材として、さらに美容・健康にも効果的な食材として注目されています。
熊本馬刺しの特徴
熊本の馬刺しは、800kg~1tまで肥育する「重種馬」の品種です。重種馬は体が大きく肉にサシが入りやすいのが特徴なので、熊本馬刺しはとろけるような食感が特徴となります。松阪牛、トロマグロやトロサーモンのような、脂の乗ったお肉が好きな方は、熊本馬刺しがおすすめです。
ちなみに、600kg前後の競走馬に使われる馬は「軽種馬」という種類で、馬肉生産量2位の福島県は「軽種馬」の品種です。福島の馬刺しはあっさりしているので、淡白な味わいが好きな方は、福島の馬刺しを試してみるとよいでしょう。