住む土地によっていろいろな土地の呼び名がある。正式名称ではなく、通称で呼ばれることも多いことも知っている。しかし、それはほとんどの場合、小さな通りなどの場合が多い、地区の場合であってもすごく小さな地域を指して『○○横丁』などと呼ばれているのは見たこともあるし、聞いたこともある。だが、ここ熊本ではもっと遥かに広い区域を通称で呼んでいるのだ。
熊本では市街地を『マチ』と呼ぶ
熊本に来てすぐの頃、家族に「マチまで買い物にいかんね?」と言われた。そこで、「はい。いいですよ。でもどこの町ですか?」と聞いたら、「マチはマチたい」と・・・そして、連れて行かれたのは、市街地だった。
他の日も義理の父が「明日はマチで飲みかたがあるけん、晩飯はいらん」と・・・また「どこの町ですか?」と聞いても「マチたい」とだけ・・・
また別の日、大学時代の友人が熊本に住んでいるということだったので、連絡してみた。すると「飲みに行こう!どこがいい?マチ?」と・・・「また出てきた!みんな『マチ』『マチ』って言うけど、どこの町のことなん?」と聞くと、その友人は大笑いしながら「ああ、マチってのは、○○町のマチじゃなくて、繁華街のことをマチって言うのよ。しかも、中央区の繁華街のことよ」と教えてくれた。なぜそう呼ぶのかはその友人も知らないという・・・
いつから呼ばれているのか?
なぜそう呼ぶのかはなんとなく想像がつく。「熊本には元々繁華街は中央区にしかなかった」と義理の祖父が教えてくれた。今では、あちこちに遊べる所はあるが、当時熊本は農業県だったので、畑や田んぼばかりだったという。そこで、繁華街の街を指して「マチ」と呼び始めたのではないだろうか?そして、義理の祖父(93)が遊んでいた頃には「マチ」と呼ばれていたようなので、少なくとも70年前から60年前にはすでに「マチ」と呼ばれていたと推測される。きっとその頃からの名残で、他にも街はできているのに、中央区の繁華街のことを「マチ」と呼ぶのだろう。
確かに一番の繁華街は「マチ」だ
確かに、一番大きい規模の繁華街は熊本では中央区の市街地だ。つまり「マチ」だ。他にも光の森や東バイパス沿い、北バイパス沿い、はません通り沿いなど発展している所はあるのだが、一番大きな規模の繁華街はやっぱり「マチ」なのだ。
今も「マチ」たる所以を誇る「マチ」
今でも熊本最大規模を誇る「マチ」だが、夜には大阪のなんばの夜みたいな風景になる。「どこから人が出てきたんだ?」と思うほどの人の流れが出てくるのだ。都市伝説的に囁かれているのは、この「マチ」は居酒屋・クラブやキャバクラ・バーの密集度は日本一だと言われている。確かに、本当に信じられないくらいの飲食店が密集していて「よく生き残れるなぁ」と感じることが多々ある。
熊本に観光旅行で来る際はぜひこの「マチ」も体感して欲しい。熊本の元気の良さが出ているところでもあるし、熊本のなんとも言えない地元ならではの風情もある気がする。観光旅行の夜は「マチ」に繰り出してみるのもオススメする。
画像出典:http://kumamoto.photo/archives/