【くまもと人物百景】<地域おこし協力隊編>山鹿市地域おこし協力隊「田河 正行」さん

熊本県内の各地域で活躍する地域おこし協力隊の紹介を通して、その地域の魅力を発信していきます。

山鹿市の地域おこし協力隊、田河正行さんにお話をお伺いしました。

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>山鹿市地域おこし協力隊「田河 正行」さん

山鹿市とは

山鹿市は、熊本県北部に位置し福岡県や大分県と県境を接しています。市域の北側は緑豊かな山林に覆われ、中央部には西の有明海へと流れる一級河川菊池川があります。美肌の湯として定評のある山鹿温泉や山鹿灯籠まつり、国の重要文化財に指定された芝居小屋「八千代座(やちよざ)」も有名です。

自然豊かな環境と、市内各地に広がる長閑な田園地帯に息づく歴史や文化遺産、伝統芸能、農産物など、見所いっぱいのエリアです。

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地域おこし協力隊になったきっかけ

私は妻との出会いをきっかけに、熊本の水と食、農業を見直すようになりました。

その後、東日本大震災を機に移住された方々が多く通われていた熊本市東区にあるオーガニック野菜の直売所にて2年間勤務し色々な農業や農法の事を勉強した後、江津湖畔にてビーガンカフェをオープンしたのですが、2016年に起こった熊本地震により店舗が大きな被害を受け、営業を断念しました。その際、一時的に避難していた山鹿市の魅力に惹かれ、協力隊になろうと思いました。

元々出身は県南の八代郡なので、遊びに行くといっても阿蘇とか天草で、山鹿市を含む県北の人達とはあまり繋がりがありませんでした。熊本地震を機に、山鹿市の環境と人に出会うまでは、ほとんど山鹿市のことは知らなかったんです。

そんな“よそ者”の私でしたが、いざ住んでみるとお祭りなど地域の行事に参加のお誘いがあり、こういうことを嫌がる人もいるかもしれませんが、私は地域を知るための良いきっかけになると思いました。

このような活動への参加が、地域に馴染んでいくためのステップになっていったと感じています。今では、そういった地域活動の責任者を任されるようになりました。

協力隊の活動内容

主に空き家の活用や物件の相談、移住相談など山鹿市の移住定住推進に関する業務を行なっています。

熊本地震後に、私自身が山鹿市の「空き家バンク」を使って家を探した経緯があり、その時の担当の方がものすごく良い方で、その方の話を聞いているうちに、私もやってみたいなと思うようになりました。勤務時間内は基本的に山鹿市役所の地域生活課にいますが、提携不動産業者と行なう「空き家バンク」登録物件のご案内や空き家の調査など、外出することも多いです。

また、東京や大阪などの都市部で開催される移住相談会への参加や、山鹿市内での移住者交流会の企画と運営、移住希望者への山鹿市内の案内業務なども行なっており、相談を受ける中で、ひとりひとりのニーズをしっかりと把握することを大切にしています。そこの認識が異なってしまうと相談者も地元の方もみんな笑顔になれませんので、それぞれのニーズをしっかりと読み取るように、心がけています。

移住希望の方を案内する際は、地元の人がなかなか行かないところへも連れて行くようにしています。それは、地元の人にとっては当たり前のところなのですが、外から来た人から見ると、すごく魅力的なスポットだったりするのです。

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協力隊のやりがい・魅力

移住者の方と地域の方をつなぎたいと思っているので、山鹿市の相談窓口として移住者のニーズや特徴を知り、山鹿市内の移住先でスムーズに溶け込んでいけるよう配慮しています。

移住者交流会を年に3、4回開催しているのですが、空き家バンクを利用された移住者の方とそうでない移住者の方をピックアップしてアナウンスするようにしています。そして参加された方同士をその場でつなぎます。

山鹿市はそれぞれの町(鹿央町・鹿北町・菊鹿町・鹿本町・旧山鹿市域)が広いので、移住者同士もお互いに会わないことが多いです。だから、町単位でそういうつながりを作って、盛り上げていくようにしているのですが、どう工夫すれば私の手からは離れていくようになるか日々考えながら実施していますし、自走できる関係性が大切です。

熊本市に住んでいる時に勤務していたオーガニック野菜の直売所で県外からの移住者と交流が深まりました。また、私の妻も埼玉出身で東日本大震災による移住者なので、移住者同士のネットワークも知っていました。そういったつながりを持っている中で、熊本の方と外から来た人が同じようなところを目指しているにも関わらず、なかなかつながっていかないという実情を感じていたのです。そういったところから、人と人とをつなぎたいという思いが生まれたのだと思います。

音楽と同じで、私の中では、この人とこの人をセッションさせたらどうだろうという感じで、そこに面白みを感じているのかもしれません。熊本市の中心市街地で開催されるアートイベント「Street Art-Plex KUMAMOTO」にも長く関わっているので、その運営を手伝うようになって学んだことでもあります。
私の中では地域を「おこす」というよりも熟成発酵させるという感覚でやっています。畑も田んぼも熟成して発酵しないと良い作物は育たないので、土壌をいかに良い状態に持っていくかという考え方をしています。これは本当に農業から教わったことですが、自然の中では普通のことなので、きっと地域に対してもできると思っています。

協力隊として特別なこだわりはありますか。

協力隊としてのミッションはいただいているのですが、地域を構成する人間として、当たり前のことを行なっていると思っています。やるのであれば、質の良いものができればと考えています。

これは「Street Art-Plex KUMAMOTO」でも同じですが、質が良くないと人は見てくれないですし、ちょっとした工夫で質は高められるので、表には出ないところでサポートして、良いものをカタチにしていきたいです。デザインも必要だし、上手な情報発信のやり方も必要ですが、そういうこだわりが仕事の質を高めてくれるとも思っています。

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メッセージ

協力隊の仕事のポイントは、とにかく楽しむことです。大変なことも一部の時間を切り取ったらそうなのかもしれないですけど、人生全体を考えたときに、それを学べる時間というのはすごく貴重だと思います。

特に協力隊の仕事は働き方が決まっているので休みの時間をその町や村のために有効活用できるよう動いた方が良いし、枠に囚われることなく積極的に動くということが大切だと思います。

これは全国の自治体に多少言えることかもしれませんが、協力隊のミッションが地域のニーズに対してマッチするのか模索しているケースも多いのではないでしょうか。例えば、空き家バンクの制度を見ても、登録物件の増やし方や制度のより効果的な運用など、課題も多いと思いますが、協力隊としての業務の中でこれらの課題をすべて解決することは難しいと感じました。

地域おこし協力隊は都市部からの移住を伴うので、“外から目線”を地域おこしに活かせるメリットがあります。その一方で、外部から来た人がその地域の人から信頼されるまでには、おそらく数年間はかかってしまい、そこからいざカタチにしようとしても協力隊としての残り時間はわずかしかない。そのため、地域おこし協力隊という外からの力と連携する、地域の若い力を活かす制度があってもいいのではないかと感じていますし、普段からその地域のことを知っている若者を活用することで、課題解決に向けたアクションがより効率的にできるような気がします。