【くまもと人物百景】<地域おこし協力隊編>甲佐町地域おこし協力隊「越名 智美」さん、「上松 愛佳」さん、「坂本 紫織」さん

熊本県内の各地域で活躍する地域おこし協力隊の紹介を通して、その地域の魅力を発信していきます。

甲佐町で甲佐高等学校の魅力化に取り組む地域おこし協力隊、越名智美さん、上松愛佳さん、坂本紫織さんの3人にお話を伺いました。3人は、甲佐高校の敷地内にある公営塾「あゆみ学舎」で生徒の学習指導や面談、生きる力を育むキャリア教育“ゼミ授業”を企画・運営しています。

 

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>甲佐町地域おこし協力隊「越名 智美」さん、「上松 愛佳」さん、「坂本 紫織」さん

※写真は左から、越名さん、上松さん、坂本さん

甲佐町とは

甲佐町は、熊本県のほぼ中央、熊本市の南20kmほどのところに位置する町です。南北には清流「緑川」が流れ、自然豊かな大地の恵みを受け、農業を中心とした文京の町として発展してきました。

気軽に川と触れあえる「津志田河川自然公園」、細川忠利侯ゆかりの「やな場」、国指定天然記念物の「麻生原のきんもくせい」などの数多くの観光資源があります。

熊本県立甲佐高等学校

公営塾 あゆみ学舎

教室内の様子

自習机

甲佐高等学校パンフレット

甲佐町公営塾「あゆみ学舎」パンフレット

 

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協力隊になったきっかけ

越名さん
実家は大分にありますが、熊本には長く住んでいました。
私には娘がいますが、その娘が東京の大学に進学するタイミングで仕事探しを始めたところ、この仕事を見つけました。
地域おこし協力隊の仕事をやりたいというよりも、高校魅力化という仕事に興味を持ち、やってみようと思いました。結果的にそれが地域おこし協力隊の仕事でした。

上松さん
出身は熊本市です。大学は佐賀の学校に行っていましたが、卒業後、しばらく冠婚葬祭業で働いた後、熊本に戻ってくるタイミングでこの仕事を見つけました。大学では教育を学んでいたので、面白そうだなと、公営塾スタッフの仕事に興味を持ったのがきっかけです。求人に「勉強を強制させるのではなく、子供達の好きなこと・やりたいことを応援する」ということが書かれており、それに惹かれてこの仕事を選びました。

坂本さん
出身は福岡市です。祖父母が熊本県の松橋に住んでいます。前職では東京のベンチャー企業で働いていました。入社してすぐに熊本地震が起こって、転職するタイミングがあればなるべく九州で働きたいと思い始めました。
また、大学ではキャリア教育関連のことを学んでいたので、そういう方面の仕事ができればとも思っていました。そんななか、この仕事を見つけ、公営塾スタッフの求人に興味を持ったのがきっかけで、地域おこし協力隊に着任しました。

協力隊の活動について

教室内に貼ってある「戦国パーク」のチラシ

坂本さん
あゆみ学舎のカリキュラムは特にありません。基礎学力の定着を目指している生徒もいれば、受験を目指している生徒もいて、生徒それぞれに合わせています。なかには、熊本武将隊が大好きなあまり、それを宣伝したいということでブログを立ち上げたり、チラシを作ったりして、課題解決型学習(PBL)に取り組んでいる生徒もいます。また、開塾中の16時から21時までいつ来てもいいし、週に何回来てもいい形にしています。

越名さん
もともと「教育魅力化プロジェクト」を遂行している隠岐郡海士町のノウハウを教えていただき、ゼミ授業や個別サポートなどここに合う形で、それぞれの得意分野を活かしていき、今の形に落ち着きました。

実際に始めるまでは、役場と学校双方で大変なことがたくさんあったと思いますが、立ち上げる時にこういう取組みが必要だと思って力をくださった先生がたくさんいらっしゃいました。その先生方のお力がなければ、塾を軌道に乗せることは難しかったと思います。

上松さん
塾は「あなたの芽を花にする」をコンセプトにしています。子供達がやりたいこと、好きなことをなかなか言えなかったり、実際にできる環境がなかったりするなかで、それをいくらでも応援するという意味を込めています。
だから、私自身も生徒がやりたい、やると言ったことを応援する姿勢を大切にしています。

坂本さん
今の思いを認めることをすごく大切にしたいと思って日々取り組んでいます。2ヶ月に1回ほど「大人インタビュー」というゼミ授業をさせていただいています。毎回、大人の方を1時間ほどお呼びして、仕事のことなどについて聞ける場を作っています。そこでは、『生徒の意見などに対して否定しない』ということを前提にゲストの選定なども行い、生徒が思っていることを引き出す関わり方に気を配っています。また、これまでの経験から、あゆみ学舎では意見を自由に言える環境づくりを心掛けてきました。

越名さん
何かを教えるノウハウというよりも、何かに気づくきっかけを作れる環境ができればいいと思っています。私という人間がいることで何か伝えられればいいなと。
私が大事にしているのは頭と心と体のバランスです。勉強が嫌い、苦手な子供達に対して頭から入ろうとすると難しいこともたくさんあるので、まずは心や体からアプローチするようにしています。心でいうと、たとえばお茶を飲んだり、瞑想タイムを作ったりしてリラックスしてもらいます。体だと、軽くストレッチしてみたり、姿勢をちゃんとしてもらったり。そうやって、心や体を整えることで、生徒自身が学びやすい環境を作れるように心がけています。

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協力隊のやりがい・魅力

越名さん
朝授業を担当しているのですが、生徒達がここに来たら、お茶を飲ませるようにしています。
朝は慌ただしくてなかなか一息つけないので。
また、朝、眠い目をこすって来てくれているので、ご褒美の意味もあります。他に、生徒がここから出ていく時には「いってらっしゃい」、部活などから帰って来た時には「おかえりなさい」を言うようにしています。

活動の中で最高にやりがいを感じたのは、去年の文化祭で行った「トークフォークダンス」です。地域の方100人に来ていただき、生徒一人ひとりと対話していただくというもので、生徒も地域の方もみんな笑顔でその笑顔の渦を見た時は本当に嬉しかったです。
また、最近は、英語を学びたいという生徒が増えてきているのですが、私自身が英語の教員免許を持っていることもあり、英語に興味を持ってもらえるとテンションが上がります。英単語を覚えてもらうための戦略を日々練りながら、どうしたら覚えてもらえるか考えることが楽しいです。

上松さん
私は生徒達に自己紹介する際に、「まーてぃん」というあだ名で呼んでくれるようにお願いしています。そう呼んでもらったほうが親しみやすくなるし、少しでも心の距離が近くなると思ってそうしています。

生徒から積極的に何かをやりたい、学びたいと言ってきてくれる時は嬉しいですね。
また、学校の先生や家族にも秘密にしていることをこっそり教えてくれたりする時があるのですが、そういう時は信頼関係が築けているのかなと思い、嬉しくなります。

坂本さん
私は学生時代も社会人になってからも住む場所を転々としてきた分、知り合いも多いです。そういう意味で、その知り合いの中から人を引っ張ってくるのは自分の役回りではないかと思っています。生徒達が卒業後、何かあった時に学校で出会った大人達の会話を思い出して、それを糧に今後のことを考えることもあるかもしれません。だから、いろんな大人達との出会いの場を作るということを心がけています。

「大人インタビュー」の昔の感想文を見た時に、自分の感情を自分の言葉で表現してくれるようになっているのを見ると、やりがいを感じます。

朝一番のお茶

 メッセージ

上松さん
甲佐高校の先生も生徒も本当にどんなことでも受け入れてくれます。甲佐高校に来ることでたくさんの出会いがあり、人生において何にも代えがたい大切な仲間や経験を得ることができます。たくさんの方に来てもらいたいですね。

坂本さん
私は福岡で1学年400人いる学校で学生時代を過ごしたので、話したことがない同級生がたくさんいました。だから、街中で偶然出会ったり、同窓会などで再会しても思い出話を語り合えない同級生もたくさんいると思います。
一方、甲佐高校は思い出を語り合えるくらいいろんな人と関わりを持てます。勉強よりも体験を重視している高校なので、すごく羨ましいです。だから、勉強だけではなく、自分で動くことが楽しいという生徒さんにはすごく合っているのではないかと。そういう生徒さんにぜひ来てもらいたいですね。

越名さん
生徒数が少ないから一人ひとりが主役というか、それぞれに役割があります。先生方も生徒一人ひとりが輝けることを大事に考えていらっしゃいます。

また、実際に来ていただくと分かると思いますが、学校の環境がきめ細やかに整えられています。季節ごとの花がとてもきれいだったり、目に見えるところも見えないところも、先生方やスタッフの方が環境を丁寧に整えられているのは本当に魅力的だと思います。