【くまもと人物百景】<地域おこし協力隊編>芦北町地域おこし協力隊「武末 愛」さん

熊本県内の各地域で活躍する地域おこし協力隊の紹介を通して、その地域の魅力を発信していきます。

芦北町の地域おこし協力隊、武末愛さんにお話を伺いました。

熊本人物キュレーション<地域おこし協力隊編>芦北町地域おこし協力隊「武末 愛」さん

芦北町とは

芦北町は熊本県南部にある町で、町内の西部〜北西部は八代海に面し、町内東部の山間部には球磨川が流れています。

漁業が盛んで、うたせ船による独特の漁が行われています。また柑橘系の生産が盛んで、近年においては「不知火(デコポン)」の生産も増えてきています。

地域おこし協力隊になったきっかけ

熊本市出身で、大学から長崎へ。大学卒業後に東京で働き始めました。就職先はインターネット広告会社で、広告枠の営業や広告運用、進行管理やクリエイティブの校正などの仕事を担当していました。東京本社に3年半ほど、その後福岡支社に転勤し4年半ほど勤務していました。当時は広告の仕事が楽しかったので、将来的に、地域か自社の商品を宣伝する側にまわりたいなと考えていました。

転職しようと思ったときに、最初は自治体を受けようとしていました。でも、自治体だとどの部署に配属されるか分からないですし、自由度のある仕事ができるわけでもないですよね。一方、協力隊の仕事は移住して3年間安定して自由度の高い仕事ができる、ということで、地域おこし協力隊になろうと決めました。

地域おこし協力隊という存在は、前の会社の後輩が岩手の協力隊をやっていて知っていました。その後、あるテレビ番組で協力隊の女の子が活躍しているコーナーを見たんです。その時に協力隊の具体的な仕事や仕組み、制度などを知って、そこからだんだん協力隊に対して興味を持ち始めました。

最初は、天草を受ける予定でした。海と温泉、釣りが好きで、祖父母の実家があったので小さいころからなじみがあったためです。ただ、当時自分のやりたいことにマッチする仕事の募集が残念ながらありませんでした。

小さいころよく海水浴に訪れた鶴ヶ浜海水浴場がある芦北町も一応見てみることにしました。資料でももらえればいいな、という気持ちで役場に電話したところ、当時の担当者がわざわざ時間を作って、いろいろと相談に乗ってくれました。その時に協力隊募集を紹介もしていただきました。前職のスキルが生かせそうな内容だったため、履歴書を出したところ採用されることになりました。実はそれでも本当にこれでいいのかなと悩んだり、当時はまだ他の自治体も見たいなと思っていました(笑)

協力隊の活動内容

仕事の内容は、ふるさと納税振興というミッション型の仕事です。ただ、ふるさと納税はかなり難しいジャンルで、私が着任した当時は、一部の自治体が還元率の高さを武器にして通販戦争をしており、多額の広告費を投じて前年比寄付額をどれだけ上げるか、といった市場になっていました。

そんな中でネット回線の工事業者に芦北町を”れいほくまち(苓北町)”って読まれたんです。”天草の御立岬”に行こうというツイートも見ました。
(注)苓北町は天草地域にある町。御立岬は芦北町にあるスポット。

熊本県内にも芦北町をよく知らない人がいる。まずは納税先の候補になるため芦北町を知ってもらう、長期的なブランディングをしましょうという話になりまして。PR活動に力を入れて仕事をさせていただくことになりました。

具体的な仕事としては、ネット上に情報が少なかったので、SNSアカウントを作り新鮮な情報や写真、記事、動画をアップしたり、町内外の方と双方向性を意識したコミュニケーションをとったりと地道ですが町のファンを増やす事を第一に運用しています。

さらに、ふるさと納税の返礼品を提供していただく町内事業者を発掘し、一緒にパッケージ刷新や写真撮り直しなどを行なっています。事業者の掘り起こしもミッションの一つなので、発掘できたのは良かったと思っています。

協力隊のやりがい・魅力

地方創生の仕事をこんなに柔軟に予算を持った状態でできる仕事はないと思います。自治体職員だと、いつ地方創生の仕事に関われるか分かりませんし、企業も地方創生に資金を投じてはいますが、地方にそんなに密着しているわけではありません。そういう意味で、こんなに深く3年間も地域のことに関われるというのはたぶん他にはないでしょう。そういうところにやりがいを感じました。

また、私がよいと思った製品に対して、生産者である町内事業者の方にこういう風にしませんかという提案をして、自分でデザインやグラフィックを考えることがあるんですが、それらを事業者の方に持っていった時に喜ばれるのがすごくうれしいですね。また、そのデザインなどを商談会に持っていって、その後事業者の方から「3社声がかかりました!」というお電話をいただいた時はやりがいを感じましたし、私の提案で町内事業者の製品が広がっていくというのは一番の魅力だと思います。

任期終了後は、多業を確立させるのが一番の目標で、時間を自分でコントロールしたいというのが一番の理由です。夜型なので、朝早すぎるのが苦手な分、夜の方が、効率が上がるんです。それに飽き性なので、ずっと同じことができなくて。分散しておけば色々な仕事に関わることができるなと。あまりガツガツと働かなくていいかなと思ってます。
人生は一度しかないので、小さくてもいろんな仕事をしてみたいなと思っています。得意不得意もやってみないとわからないので。いつか天職が見つかったらいいなと思います(笑)

メッセージ

人生はとても長いので、そのうちの3年間を協力隊として過ごすのもいいんじゃないでしょうか。楽しいと思います。ただ、この地域おこし協力隊の制度はやれることがいっぱいあるので、自分をしっかり持っていないといろんなことに左右されてしまいます。関係性の保ち方や仕事のスタイルをしっかり持っている人であれば、ものすごく面白い仕事だと思います。地方に興味がある人にはオススメですね。

芦北町には、実は温泉がたくさんあります!温泉街があるんですが、海側には塩湯の温泉、川沿いは硫黄の香りの温泉、山には檜の浴槽の温泉などいろいろな温泉があるのは魅力ですね。なんと200円で入れる温泉もあるんです!他にも白い砂浜のビーチが5か所、お茶園のある山もあります。球磨川も美しく、川遊びもできます。

また、交通も便利です。隣接する市に新幹線の駅があるので、福岡や関西にも行きやすいですし、町内にインターが2か所あるので渋滞を気にせず空港へ約1時間で行けます。現在水俣〜出水間の高速道路が整備中で、八代市の日奈久から鹿児島までは無料区間なので、鹿児島も生活圏内になります。鹿児島は大好きなのでよく行きます。

子育てに関して言うと、高校卒業まで医療費が無料なんですよ。トータル的に生活環境も整っているので、住んでいてとても満足できるところだと思います。

最後に、すごくお勧めなのが、春の午前中の白い砂浜の海。これはぜひ見に来てもらいたいですね。すっごく綺麗なんです。写真を撮って見せると地元の人が「ここどこ?綺麗ね!」っておっしゃるんですが、、、芦北です!特に満潮の晴れた午前中は絶景です。もちろん夕日もきれいですよ。写真映えばっちりです!