【くまもと人物百景】レジンアーティストSAYAKAさん“海”のストーリーが想像できる作品を、他にはない方法で。

レジン(樹脂)を材料にした作品を創るアーティストって、極少数。

熊本でも……九州でもあまり聞かないわね。

かなりかなり“オリジナル”にこだわるSAYAKAさんは、自身の発想と積極性を頼りに、独学でレジンアートに没頭する……レジンオタク笑。

作品のテーマは“熊本の海”。

彼女をアーティストに目覚めさせた原点に由来するの。

実際の創作風景を見せてもらいに行ってみたら……聞きたいこといっぱい!

SAYAKAさんの創作工程

作品を見ても、レジンと聞いても……どうやって創るのか、イメージできません笑。

ちょっと突っ込んで聞いてみるわ。

指とヒートガンと、丸太を使って。

そもそも、どうやって創っていくのかしら。

液体樹脂に塗料を混ぜ合わせて、ベースとなる色を用意します。その色を指で伸ばしながら乗せていく。基本的には、その繰り返しです。海のしぶきの感じを出すために使っているのが、ドリル? いえいえ、ヒートガン……いわゆる送風機。600度の高熱を吹き付けます。ヒートガンは送風口が小さいので、細かな風合いが調整しすいんです。

 

材料も、工具も、簡単に話すけど笑……結構レア。

液体樹脂は、実は県内、というか、国内でもあまり売っていないので、インターネットで海外から探して取り寄せています。それが……高いんです! ひとつの作品を創るまでに、時間も費用も掛かってしまうのが悩みですが、結局、行き着いたのがココだったんです。

 

レジンも珍しいけれど、作品を描いている土台が……木。

丸太をカットしたものです。雰囲気が出ますでしょう? 近所に材木屋さんがあるので、一人で突撃で行ってみて、直談判、『余っている木、ください!!』って笑。そうしたら、すごく優しく受け入れてくださって、その場で材木をちょうど良いサイズに薄くカットしたうえで譲ってくださったんです。

ガスマスク姿も特徴的ですよね笑。レジンは呼気として吸い込み過ぎるのは体に良くないので。作業後、マスクを外した直後は鼻に跡がつくんで、写真撮らないでくださいね笑

 

レジンだから出せる風合い。

何を参考にしているのかしら。

自分だけの方法、素材で作品を創りたかったんです。原点はそこから。他ではなかなかない方法、素材を……と、行き着いたのがレジンだったんです。レジンアートの世界なら、オリジナリティのある作品を創り出していける、と。ただ、周囲にレジンアーティストっていないので、教えてくださる人もいない……。なので、ほとんど独学で実験し、失敗から方法を見出しています。資料を探したり、もちろんインターネットでも調べますが、それでも情報は多くなくて……実験、失敗、また実験、の繰り返しです。

 

それでもレジン。

創作活動を本気でやっていこうと思ったときから、オリジナリティにこだわりたかった。だから、材料も方法も、手に入れるのが大変でも、今……ようやく形の見えてきたレジンでの創作を今後も変えるつもりはありません。珍しいからレジン、というだけでなく、作品の仕上がりが……水彩画でも油絵でも表せない風合いがある。私の描きたい“海”は、今はレジンでしか表現できないと思っています。

SAYAKAさんの経歴とレジンアートのきっかけ

幼い頃から絵を描くことは好きだったSAYAKAさん。

でも、学校卒業後、すぐにアートの道に進んだわけではなかったみたい。

でも、絵に戻ってきた。

それも、なんとなく……ではなく、きっかけとなる「感動」があったとか。

今は二足のわらじ。

アート自体はいつから。

小さい頃から遊びの中で絵を描いていた程度ではあったのですが、地元の高校で芸術コースに進みました。当時は油絵が多かったかな。絵を描くのはずっと好きでしたが、周りにはもっと上手な人がたくさんいましたし、だから将来も絵を仕事にしようとまでは考えていませんでした。

 

高校卒業後、すぐに今の仕事(歯科衛生士)に就いたのかしら。

卒業後、3年間専門学校に通ってから、歯科衛生士になりました。昨年春に就職したばかりなので、今、ようやく社会人2年目です。少しずつですが、患者さんも診させていただいていますし、今年からは研修生のお世話も任せていただいています。

 

そんな中、絵を描くことは?

卒業してから、そして昨年までは、まったく絵を描くことはありませんでした。こんなに絵を離れたことはありません。衝動的に絵を描きたい!と思うこともなかったです。おそらく、卒業!就職!ということに精一杯だったんだと思います。

 

「感動」を「絵」に。

じゃー、絵を再開したのは今年から。

そうです笑。それには……二つの出逢いががありました。

 

出逢い! ドキドキ……笑。

一つは……友人に会いに関西に行ったとき。昨年の暮れでした。その友人はシェアハウスに住んでいて、ルームメイトの中に画家さんがいたんです。その人の考え方、生き方が……良い意味でマイペースでカッコよくて。のんびりしていそうな感じなのに、海外で個展を開いていたり! その人に触れるうちに、もう、……単純に『絵を描くのを仕事にするって素敵!』って感じたんです。社会人になってから、初めてプロの絵描きさんに出逢って……刺激的だった。

 

もう一つの出逢いは??

ちょうど同じ頃、家族で宮古島に旅行しました。仕事にも私生活にも、少し疲れたときだったんで、リフレッシュが目的の旅行でした。そこで目にした宮古島の海! ……きれい、の一言。海面の透明感、海中の解放感……純粋に心が洗われた、心が奪われた。『これからも頑張ろう』と前向きな気持ちになったんです。その私が受けた感動を何か形にしたいと思って……、そこで、私ができる表現方法が絵だったんです。

宮古島の海は水彩画で描きました。海と、プラス、宮古島で出逢ったウミガメも一緒に描きました笑。絵が完成したとき……人の心を動かすことができる“海”を、私のできる唯一の表現方法である絵で描き続けたいって、覚醒したんです笑。そのくらい、あのタイミングの私に与えた海のパワーは大きい。絵を描きたい、というか、海を描きたいと気持ちが固まった瞬間です。

SAYAKAさんの創作ペースと目標

現在は歯科衛生士を本業としながら、合間を縫っての創作活動。

作業場にこもりっぱなしなのかしら……と思いきや笑。

作業+勉強、ときどき具材拾い。

創作活動のペース。

お休みの日は作業に没頭することもありますが……レジンは描いた後に固まるまで丸2日は掛かるんです。なので、ひとつを乾かしている間に、次の作品に着手することもありますが、県外の展覧会に足を運ぶことも多いです。レジン作品の展覧会? レジン展はありませんので笑、油絵だったり、CGだったり、立体造形物だったり、さまざまな作品を鑑賞して、発想力を磨く。トレーニング感覚ですね。刺激を持ち帰ることができますので、次のレジン作品にも生きていきます。展覧会に行くのは、直接的なヒントを得るためというより、モチベーション、インスピレーションを高めに行く感じです。

 

貝殻が付いている作品もあるわね。

砂とか、貝殻とかも拾いに出掛けます。海をテーマにしているので、可能な限りさまざまな海を体感しに行く。海の表情を眺めていると……海岸の砂とか、波打ち際の貝殻にも目が奪われます。作品に海らしさと、遊び心を加えるのも楽しいので、具材も集めるようになりました。

 

“海”を感じてもらいたい。

どんな作品を創っていこうかしら。

『絵を見ている』ではなく、『“海”を見ている』と感じていただけるような作品を追求したいですね。私自身が『絵を描きたい』ではなく、『“海”を描きたい』と思ってレジンアートに行き着きましたから。海って……海そのものにも、海を見る人それぞれにも、ストーリーがある。ひとつの私の作品から、いろいろなストーリーが自然と生まれてくるような、そんな海を描き続けていきたい」

 

たくさんの人に作品を見てもらいたいわね。

将来、究極的には、やはり個展を開きたいです! そのために……まずは一歩ずつ、作品のクオリティを上げて、点数も増やしていかなくてはなりません。今はSNSでも作品を披露することができますが、個展の規模まででなくても、まずは不特定多数の方々に、実際の作品を生の目でご覧いただく機会がもらえるように頑張っていきたいです」
SAYAKA「アートって、近い感性の人同士を結び付けるものだけではなく、新しい発見も、もたらしてくれるもの。私もこの先、レジンアーティストのまま? それとも、“海”がテーマのクリエイター?どこへ向かうかは分かりませんが、他にはない方法、オリジナリティを追求する路線だけはずっと変わらないと思います。

 

この記事を書いたのは

サラミさん