新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国的に経済への打撃が叫ばれている。特に観光業では、売り上げが前年同期比8割減に落ち込んでいると言われ、熊本にも影響が大きい。
そんな中、熊本のホテル業界を代表する『熊本ホテルキャッスル』が、コロナ対策万全を目指して奮闘中と聞いたので、どのように取り組んでいるのか現場を取材してきた。
熊本ホテルキャッスルの取り組み
熊本ホテルキャッスル独自の宴会スタイル
熊本ホテルキャッスルでは、独自の宴会スタイルCPDS(キャッスル・フィジカル・ディスタンス・スタイル)を導入した。
CPDS(キャッスル・フィジカル・ディスタンス・スタイル)とは、これまで1テーブルあたり9人〜11人で円卓を囲み、隣の席との間隔が近かったのを、1テーブルあたり6名〜7名で隣の席と距離を保ってテーブルセッティングするやり方。コロナ禍で新しく考案された宴会のスタイルだ。
また、会議利用時は1テーブルあたり3名掛けを2名掛けに変更し、密を避けるセッティングを考案した。
角田社長になぜ「フィジカルディスタンス」なのかを聞いてみた!
どうして「フィジカルディスタンス」という言葉を使ったのですか?
「フィジカルディスタンス」は世界保健期間(WHO)も提唱していますが、ソーシャルディスタンスという言葉を使うと距離は保つことができますが、心の距離も遠くなるようなイメージを受けてしまいます。そうではなく、フィジカル(身体的な)という具体的な言葉を使うことで、身体的に距離を保っていても人と人のつながりは維持した上で、適正な距離を保つことできるのではと考え「フィジカルディスタンス」と名付けました。
具体的にはどのような距離の取り方を実施されていますか?
館内の消毒や検温などをはじめ、従業員はもちろん、お客様との距離を保つことは当たり前ですが、特に力を入れたのは、テーブルセッティングです。宴会場や各店舗の部屋の形状が異なるため、その部屋に応じたテーブルセッティングを現場のスタッフが何度もディスカッションして決めて参りました。その結果、先日も結婚式と披露宴を行うことができ、お客様もご安心してご利用いただけるようになりました。
サーマルカメラ(非接触体表温度検知カメラ)の導入
熊本ホテルキャッスルは、これまで、保健衛生対策、共有物の衛生管理、ソーシャルディスタンス、会計時の非接触、換気などに努めてきた。
さらに熊本ホテルキャッスル独自の安全対策スタイルをCPDS(キャッスル・フィジカル・ディスタンス・スタイル)と名付け、お客様と全従業員の安心安全のための、適度な距離感を保てるように取り組んできた。
そして、7月21日(火)に、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策として、複数人(約20人)の検温が一度にでき、体温がモニターに表示されるサーマルカメラを導入。
今回のサーマルカメラの導入で、一度に複数の利用者の検温ができるため、検温のために長い行列ができることもなく、スムーズにホテルに入館できるようになった。
さらにホテルに入館する利用者全員を検温することで安心してホテルを利用でき、披露宴や宴会などにも参加しやすくなっている。
実際に体験してみた。
体温が出るまでドキドキしたが、無事37度以下で安心した。
こんな顔に見えるカメラがしっかりと検温してくれた。
ラピュタに出てくる巨神兵に似ている気がする・・・
各店舗での検温
ホテル入館時のサーマルカメラでの検温に加えて、ホテル内にある各店舗への入店時にも入り口にて一人一人検温を実施している。ダブルチェックすることによりより利用者に安心してもらえるよう心がけていた。
ホテルの備品を1時間ごとに消毒
従業員のこまめな手洗い、うがい、手指の消毒はもちろんのこと、利用者や従業員が頻繁に触れると想定される箇所(エレベーターのボタン、ルームキー、ドアノブ、貸出品等)の消毒を1時間ごとに実施。
アルコールの配置
正面玄関と南口玄関の入り口には自動噴射式のアルコール消毒液を設置し、各レストランや宴会場の入り口、各階のエレベーターの乗降口にも消毒液が置いてあり、利用者が至る所で除菌できる体制ができていた。
また、業務用強力空気清浄剤を館内の各所に設置し、常にウイルス除去に取り組んでいる。
換気の徹底
換気についての取り組みは、普段から窓やドアを開け、常に外気を取り込んで空気の入れ替えを心がけている。
また、館内全体管理の空調機を使い、館内全体の空気の入れ替えを行うと共に、特に利用者ので入りが多い1階〜3階では、全体管理の空調機に加えて各階専用の空調機でも空気の入れ替えを行なっている。
さらにサーキュレータでも空気を巡回させて常に空気が入れ替わるように工夫されている。
従業員の健康状態の把握
従業員の事前健康管理チェックに加え、出勤した際に従業員入口を入ってすぐに検温とアルコールによる消毒が徹底されており、スタッフがウイルスを持ち込まない体制を整えている。
接客時のマスク着用
本来は接客する際にはマスクを取って利用者に表情と声が伝わりやすくするのがベターだが、感染拡大防止の観点から、接客するスタッフだけでなく裏方のスタッフもマスク着用を徹底していている。
また、マスク越しでもスタッフの笑顔を感じてもらえるよう、笑顔体操のマニュアルを作成。利用者に表情が伝わる工夫されている。
マスクでの接客のクオリティアップトレーニングは以下の項目で実施されている。
- マスクを着用し口角をあげて発声する
- 鏡を利用しまたはスタッフ同士で目のみで笑顔が伝わるようトレーニング
- 普段より明瞭な声で話すトレーニング など
熊本ホテルキャッスルの魅力
客室の紹介
今回は天皇陛下もご宿泊された「ロイヤルスイート」や
ホテルで結婚式を挙げたお客様に最高の夜を過ごしてもらうために用意した「ブライダルスイートルーム」などを見学してきた。
タイプの異なるスイートルームだったがどちらも日常を忘れ特別な時間を過ごせるであろう。
レストランの紹介
和食と洋食のレストラン「九曜杏」ではコロナ前よりも座席数を減らし寛ぎながら食事ができる座席の配置を変えてあり
四川料理のレストラン「桃花源」ではコロナの時期に合わせて一部をリニューアルし、新しい店内で九州で一番最初の四川料理を味わうことができる。
ちなみに、取材後、熊本ホテルキャッスルさんのご好意で四川料理のレストラン「桃花源」の杏仁豆腐をいただいた。
プルプルで普通の杏仁豆腐より柔らかく、濃厚な杏仁の味とクリーミーな味わいが暑い日にぴったりの爽やかな一品だった。
さらなる高みを目指して
最後に顧問である横山さんに「今、大切にされていること」についてお聞きした。
「常にお客様の立場で、変化していく現状に合わせて最前を尽くすことを意識していますが、当ホテルは特別なことをしているつもりはなく、当たり前のことを当たり前にやっているだけです。きっとどのホテルも今必死にコロナと戦っていると思いますが、今まで以上に当たり前のことを徹底的に実施できるかということが試されていると考え、日々、改善できるポイントはないかと探しながら業務に当たっているところです」とお話しいただいた。
熊本ホテルキャッスルに行こう!
今回、熊本ホテルキャッスルに突撃取材をさせていただいて気づいたのは、常に利用者の立場で「どうすればお客様が安心して熊本ホテルキャッスルをご利用いただけるか」を考え抜いて業務に当たられているという点だ。
ホテルは宿泊するだけの場所ではなく、レストランや宴会場としての利用もある。よりきめ細やかな心配りと細心のリスク管理が求められる。
熊本ホテルキャッスルでは、熊本の老舗ホテルであるという格調高い上品さを守りつつも新しい変化やリスクにも全力で対応することで、少しでも利用者の心に残るサービスを提供しようというプロ意識を感じた。
ぜひ、熊本ホテルキャッスルに足を伸ばして実際に彼らのサービスを体感してもらいたい。
熊本ホテルキャッスルの基本情報
店名
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熊本ホテルキャッスル |
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住所
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熊本県熊本市中央区城東町4-2 |
電話番号
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096-326-3311 |