【くまもと人物百景】熊本女子のリアルは「がむしゃら」地域コーディネーター多田隈由貴(ただくま・ゆき)さん

「地元が好き」-。

熊本に住んでいる方々から、よく聞く言葉です。

玉名・荒尾・山鹿という、県北の山間地域一帯を、小さな体で駆け回り、情報発信サイト『まいぷれ』を通じて、地域に住む方々を繋ぐ事業に専心する多田隈由貴さんも、「地元が好き」を口にします。

30歳を迎えたばかりの彼女から溢れ出る「地元が好き」の奥には、どんな想いが秘められているのでしょうか。

熊本の30代女子の、リアルな姿を追いました。

自立心、逞しさを、求めていきたい-。仕事、家族、そして自分。

多田隈 由貴(ただくま・ゆき)さん/地域コーディネーター

「地域コーディネーター」という仕事。

-情報発信サイト『まいぷれ』。

発信元は、物流業を生業とする有限会社アースコーポレーションで、スタートは2017年11月。このIT事業の立ち上げは、同社が地場企業として、地域との密着性をより強め、顧客層の掘り起こしの一端になればとの目的があったようです。

http://tamana.mypl.net/

「東京、福岡などの都市圏に比べ、熊本のような地方は、圧倒的に情報量が少ない。情報が少ないから人も流出し、消費も落ち込み、寂れていってしまう。その循環です。地方で生活をしている以上、地場を盛り上げていかないと、生活が成り立たなくなっていく。『まいぷれ』は、そんな危機感と使命感を持って、運営を開始したサイトです」

「熊本は他県に比べても、同業というか……他にも、個性的な情報発信サイトがひしめき合っています。競合が多い、というより、むしろこの現象は、熊本はインターネットから情報を得る方が多いという仮説に行き着きます。競合サイトの中で生き残っていくためには、他にはない強みがないとダメ。『まいぷれ』は県内の大手サイトが取り上げないようなニッチな情報を、事象に携わる人柄であったり、経緯やストーリーであったり、一つの事象について、よりテーマを絞り込み、徹底的に、集中的に、えぐった紹介記事を掲載することに相当こだわり、その部分で生き残っていきたいと考えています」

-『まいぷれ』の語源は、『My Place(私の場所)/My Pleasure(私の喜び)』の略語から。まさに、地域の方々が、自分たちの住む地域をより好きになってもらうことを目指す意思が体現されたネーミングです。

サイトの運営資金は(他のサイトと同様に)、一般にクライアントからの出稿料金に頼るものではありますが、『まいぷれ』の出稿費はきわめて破格。

「幸いにも、『まいぷれ』は本社事業の補完的な役割の位置付けで稼働させてもらっていますので、サイト自体は最低限の運営資金で十分なのです。だからこそ、広告収益を追求するよりも、サイトの存在によって、物流とはご縁のない、地元のたくさんの方々ともネットワークを深めることに焦点を絞っています。それが『まいぷれ』の存在意義です」

「だから、私自身の仕事は、"広告営業”ではなく、"地域コーディネーター”であるとの自負を持っています。最近では地元自治体との事業もご一緒できる機会も増えてきましたので、『まいぷれ』が架け橋となって、地域全体が繋がっていけるチャンスが拡がってきて……地域のコーディネートに、手応えを感じ始めています」

「クライアント様に通う頻度は、最低5~6回でしょうか。通うのが増えてしまうのも、クライアント様と新しい発想を一緒に生み出していく工程に、私自身がのめり込んでしまうからかもしれません。先日は、ある骨董品屋さんとの間で、今までは専門家向けの発信ばかりだったところを、生活必需品としての切り口での発信に切り替えることで、従来にない主婦の皆様にもご興味を持っていただけるのでは?という企画を、時間をかけて練り出しました。新しい発信はまずまず好調で、クライアント様も、『そんな考え方もあったんだね』と喜んでくださいました」

 

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愛する地元は、来年注目のエリア。

-山鹿市出身。高校卒業後は地元を離れた多田隈さん。といっても、勤め先は県内。それでも彼女にとっては、「地元を離れた」という感覚がとても大きかったようです。

 

「地元を離れて仕事をしているときに、たまたま玉名の方と知り合ったんです。玉名は、地元の山鹿と隣接しているので、勝手に初見から親近感を持ってしまって(笑)。その玉名の方の人柄が、すごくあたたかくて……『地元に戻りたい』と衝動に駆られました。動機としては単純かもしれませんが、私にとって地元である山鹿市は、いつかは帰る場所だったのだと思います。地元愛?そうかもしれませんね」

「ちょうど同じ頃、横浜から熊本に移住してきた友人ができたのですが、その方が、熊本、とくに私の地元方面の地域の食べものや自然、頑張っている小さなお店の魅力に至るまでを、とにかくベタ褒めしてくれるんです。……私はそのとき、熊本や地元の可能性を再認識したんです。県外の方に、ここまで感動を与えられるコンテンツが熊本や私の地元にはある。それならば、私自身が知り得ている範囲で、探し出せる範囲は限られるかもしれませんが、情報をどんどん発信していきたいとの鼻息が荒くなり……そのときに運良く出逢ったのが、今の仕事でした。あたたかい人に触れた玉名と、地元の山鹿、そして、その中間にある荒尾と、私の思い入れのある地域を行き来できる仕事は、今は他に見当たりません」

 

-2019年1月からのNHK大河ドラマは、まさに多田隈さんが奔走する地域が舞台に。大河ドラマ特需が期待できそうですが……。

「私自身は生まれ育った山鹿に戻ってきたわけですが、良い面も悪い面も、山鹿をはじめとする、この辺りは変わっていません。変わらない安心と、変わらなきゃという焦り。両方あります。どうしても都市圏に比べると、気質がのんびりしているので、いろいろなチャンスも逃しかねない。せっかく地元が好きで、地元に戻ってきたわけですから、地域の方々同士をもっと結び付けることで、1+1を、3にも4にも膨れ上がらせていきたい。それが地域貢献……というと、大げさですが、私ができる、小さな小さな、地域活性になれば。『まいぷれ』が、来年からの大河ドラマと掛け合わさり、地域がかつてない盛り上がりに……そうなれば理想ですね」

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30歳、娘二人。「今」にがむしゃら。

-現在は、小学四年生と二年生になる、二人の娘さんとの三人暮らし。

「上の娘は今、ちょうど反抗期に差し掛かった頃。普段は、ほとんど同世代の友達のように仲が良い関係なのですが、一度ケンカをすると、もう手が付けられませんね。強敵です(笑)。一方で、私がパタパタしているからでしょう、長女は年甲斐もなく、冷静に物事が判断できる子で、料理もすでに私より上手です。親が完璧でない方が、子供はしっかりしてくれるのかな? 私はただただ、日々がむしゃらです……」

「そもそも、熊本で子育てがしたいと思っているのも、熊本には山があり、川があり、空を見上げれば星もあり、そんな豊かな自然に囲まれながら、この辺りは便利ではありませんが、生活に必要な最低限の物は手に入れられる環境です。そんな中で、自ら考え、失敗もして、また考えることで自立し、心身ともに逞しく育ってほしいんです。山鹿市はとくに、私の”子育て計画”からすると、今の時期は、ちょうど良い田舎具合なんです」


-娘さんたちの成長により、そろそろ自分の時間も持てるようになってきたようです。ハマっているのは陶芸。

 

「娘たちも、それぞれの時間を持つようになりましたし、私の実家も近くにありますので、私自身の時間も持たせてもらっています。休日は、時間があれば、陶芸教室に通っています。自宅から車で20分程度の平山温泉の近くに教室があるんです。腕前?ビギナーです。早く、自分好みのお皿が作れるようになりたいですね」

「あと、地元には温泉がいっぱいありますから、新しい温泉の発掘に、一人で行くこともあれば、娘たちと女3人で繰り出すこともあります」

 


-将来の野望は、ぼんやり。

「5年後、10年後……自分の姿はまったく想像できません。何をしているんだろう……。ただ確実なのは、娘2人は確実に成長していて、私自身は熊本にいる。このまま山鹿市に住み続けることに固執するというよりも、娘たちの成長を、生活設計の最優先にしているとは思います」

「自分自身を磨き上げていきたい野望はあるのですが、妄想ばかり先行してしまって、今後のことを具体的に言葉に表すことは難しいです。とにかく、娘二人に望んでいる、自立心、逞しさを、自分自身にも求めていきたい。それが野望というか、目標です」

 

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今を精一杯生きる

仕事、家事、そして自分。今は目先だけで精一杯。ただ、そんな今の多田隈さんの日常こそ、熊本の30代女性の実態かもしれませんし、精一杯=充実の時間を過ごしているとも言えるのでしょう。

「地元が好き」という彼女の想いは、『まいぷれ』の意味する、My Place(私の場所)/My Pleasure(私の喜び)として、今、十分に体現されているのかもしれませんね。

熊本人物百景

多田隈 由貴(ただくま・ゆき)
1988年8月生まれ
山鹿市出身
尊敬する人:レディ・ガガ
好きな熊本グルメ:太平燕

■取材日:2018年8月

 

取材して写真撮ってこの記事を書いてくれたのは

サラミさん


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